外構工事「自社施工だから安心です」を信じちゃいけない理由とは?!

社長のひとり言

いつもご覧いただきありがとうございます。富山です。

仕事がらシーズン中だと、土日はお客様とのご商談があるし、平日は現場の管理があるのでお休みを取れないことが多く、その分年末年始に少し長めに冬休みを頂いております。そんな関係でちょっと遅いですが本日1月9日より今年の仕事はじめとなります。みなさま、本年も宜しくお願い致します。

今年最初のブログとなる今回は「自社施工」についてを考えてみました。というのも、毎年のように何人かの方から商談の際に「自社施工ですか?」とのご質問を頂戴します。そこでぼくは「いいえ、自社施工と外注の両方です」と答えるのですが、そもそもこの質問自体がはっきり言って無意味なんです。つまりは気にするべきポイントはそこではない、そういう事なんです。その理由についてをご案内していきたいと思います。

と、そのまえに先ずは先日ぼくがDIYで行ったタイル貼りについてをご紹介させて下さいませ。ではさっそく!

お休みを利用してタイルを貼りました!

いきなりですが、先日お休みを利用して我が家の洗面化粧台にステキなモザイクタイルを貼ってみたんですよ♪
それがこちら

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どうですか、なかなかに素敵でしょ?!
元々ここにはガラスを貼っていたのですが水しぶきが跳ねてガラスがいつも汚く見えていたので思い切ってモザイクタイルを貼ってみました(^^♪

使用したのはINAXのガラスモザイク、スターダストです。キラキラと光っているので下からの間接光として程よく照らしてくれていい感じです。

こう見えてぼく、タイル貼りの訓練も受けたことがあって意外と自分でも出来ちゃうんです。とは言っても、そりゃ毎日毎日タイルを貼っている本職の職人さんとは比べるまでもないレベルなんですけどね。

エクステリアの仕事を始めたくて、当時すでに40歳は過ぎていたんですが一大決心で会社を辞めて、真っ先に向かったのは札幌高等技術専門学院のエクステリア科でした。そこで1年間ブロック積みと左官工事の他にタイル貼りの訓練も受けさせてもらえたんです。

本来、これらの工事は必要なスキルが全く違うのでブロックも左官もタイルも、それぞれ別々なクラス(科)で訓練を受けるのですが生徒数が著しく減少してしまったせいでぼくが入学した時は3つの訓練を一つのクラスで教えていました。因みにいまはもうエクステリア科そのものが消滅してしまっています。

札幌高等技術専門学院
札幌高等技術専門学院
懐かしい訓練の風景
懐かしい訓練の風景

プロになるにはスピードが必要です!

幸運にもぼくは本来別々に受ける3つの訓練を一度に受けることが出来た、おかげでブロックも積める、左官も塗れるしタイルも貼れるようになったんです。でもね、出来るからと言ってプロになれるワケでもない。

プロになれないその理由はスピードにあるんです。正直に言って慎重に時間をかければキレイに施工する自信はあります。趣味でやるDIYならのんびりと時間をかけて満足いくまでやれるだろうけれど、それではプロとしてやっていけません。その道で稼いで生きていくにはスピードが大事なんです。キレイに施工するのは当たり前で、それにプラスしてスピードが要求されるんです。そうでなければ生活に必要なお金を稼ぐことなんて出来ないのだから。

嫌になるくらいに沢山タイルを貼って、それでようやく生きていくに必要なお金が稼げる。プロってそういうもんでしょ?! 

じゃあ、ぼくがタイルやブロックの職人としてプロになるためにはどうしたらいいのか?! それは毎日同じ作業を行うことです。

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こんなにあります!外構の作業工程

とは言っても現実問題として当社のような一式で請負う外構店が毎日同じ内容の作業を同じ職人に担当させる事が出来るのか?!答えはノーです。
外構は全部同じ職人が全ての工事を担当しているように思われがちですが実際は外構にも建築同様に様々な工程があってそれぞれスキルも異なるので当社の場合は職人もそれぞれ別な者が担当しているんです。
例えばこちらの現場で考えてみましょう。

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<掘削>重機を使って正確に!

まず舗装をするために重機を使って掘削します。掘削には小型のバックホー(三菱製ならユンボと言います)を操縦して地面を掘ります。重機が入れない場所などは作業員がスコップで掘ったりもします。

こんな感じのショベルカーを操作して地面を掘るんですけど、これがまた操作が難しいんです。慣れない者が乗るとおっかなくて見ていられないけど毎日のように操作している職人に任せると手足のように操作して寸分の狂いもなく掘り進めます。

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<カーポート>アルミ製品は慎重に、そして正確に!

カーポートの設置工事なんかは何百種類もの部品を使い分けながら、しかも三平方の定理や三角関数などを使って細かい寸法などの辺や角度を計算しながら慎重に、かつ素早く組み立てるスキルが必要な専門職です。

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腕の良い職人さんは電卓を片手に常に計算しながら坦々と作業をこなしていきますが未熟な者は計算に戸惑って日が暮れても終わりません。これこそスピードが最も要求される専門職です。

例えばエクスリーフがカーポートの専門店で毎日毎日カーポートばかりを組み立てている会社であれば社員として職人を雇って一人前として育てる事も可能でしょうね。でもウチは外構工事を一式で請負う会社ですからそうもいきません。

<土間コンクリート>仕上げは左官屋さんの出番です。

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地面を掘削して砕石などの路盤材を敷いたらカーポートを組んで、そのあと路盤に断熱材を乗せて、さらに鉄筋を並べて行きます。それが終わったらいよいよ土間コンクリートの舗装です。もちろんミキサー車で生コンを運び入れて流し込んで行くのですが最後に生コンを平らに均していくのは左官の技術が必要です。

この仕上げ作業に限っては慎重に時間をかけて作業するワケにはいきません。だってちんたらしてたら生コンが固まっちゃうでしょ!それこそスピードが要求される作業です。しかもこの平らに均す左官作業は素人が見よう見まねで出来る仕事じゃありません。

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<ブロック塀>ニワカ職人が横行するほど人気があった時代もありました。

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次にブロック塀。こちらも専門的なスキルを必要とする作業です。なのですが、見よう見まねでも作ろうと思えば造れてしまうから厄介な工事です。そのせいでロクな知識や技術が無いのに造ってしまうニワカ職人が横行して阪神淡路大震災の時などはたくさんの塀が倒れているショッキングな映像が大勢流出してしまい随分とブロック塀が危険なモノに見えてしまったワケです。

そのせいですっかり人気が衰えてしまい需要が減少したため、同時にニワカ職人も姿を消してしまいました。なんとも皮肉な結果です。もちろんルールに従って積んだブロックはとても丈夫なので心配には及びませんのご安心を。でもまあ、それほど人気があったという証拠ですよね。

さて、ここまで一つの現場を参考に掘削からカーポート、左官(土間コン)、そしてブロック塀と4つほどの作業をご紹介させて頂きましたがこの他にも外構には下記のようなスキルを持った職人が従事しています。

  • コンクリート塀
  • レンガ積み
  • アスファルト舗装
  • インターロッキング舗装
  • タイル舗装
  • フェンス工事
  • 物置組立
  • 左官(塗り壁)
  • プランニング
  • 作図(CADオペレータ)
  • 現場管理

もちろん、これらのうち幾つかの工事を同じ職人が受け持つ事はありますがさすがに一人で全てを担当するのは難しと誰にでもわかる筈なのです。
ところがですね、イルンデスヨ。一人で何でも自分でやってしまう職人が・・・いわゆる<町場と野丁場>の町場ってヤツです。例えば人口の少ない田舎町なんかだと仕事が少ないから何でもかんでもやらないと生きて行けない。これが町場の業者です。
反対に大きな都市圏では大手のゼネコンやハウスメーカーなどの下請けや孫請けをしながら成り立っている職人、いわゆる野丁場が多い。

町場と野丁場

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現場には大きく町場と野丁場の二つが存在しているのは前述の通りですが、この二つ実はどちらも宣伝活動がいらないのです。町場の場合、そもそもが小さな町での話しなので、例えばアスファルトをしたかったら近所の人に聞けば「何丁目の誰それさんがやってるよ!」ってな具合ですぐに分かるんです。

しかも他にライバルも少ないのでたとえ作業に時間が掛かったとしてもお客様は待ってくれるし、安く請ける必要もない。だから広く浅くでも成り立つんです。

逆に野丁場の場合、たとえ一つのスキルでも技術を極めていれば黙っていても仕事の依頼は入ってくるでしょうし、例え単価が安くてもスピードが速ければ数を稼ぐことで成り立つワケです。

さて腕が良いのはどちらでしょうか?! 聞くまでもないですね。毎日同じ作業を行っている野丁場の方が一般的には腕が上がるのは間違いないワケです。

自社施工は工事店にこそメリットがある。

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てなわけで、こと外構工事においては「ウチは自社施工です」っていうキャッチコピーはお客様にとっては何のメリットにもならない事をご理解いただけたでしょうか?!

むしろ自社施工によるメリットはその工事店にこそあるんです。そもそも外構工事店の多くは職人さん上がりの社長さんが多いので腕に自信があるから何でも自分でやりたがる人が多い。しかも職人気質だから現場監督として他者をコントロールするよりも自分でやっちゃった方が楽なんです。

自社施工だからって安い訳じゃない。

では金額的にどうなのか?! 外注を使っている会社は高いというイメージが強いかもしれませんが実際にはその逆です。そうです、スピードなんです。とことんまでその道を極めた専門の職人はとにかく早いんです。だからって高いワケじゃありません、むしろその逆に一件あたりの単価を下げる事が出来るんです。

建設業も外構工事業も時間を掛ければかけるほど無駄な経費が発生します。たとえば重機です。多くの建設機械はリースやレンタルで借りています。だから時間が掛かるほどに経費は増えます。たとえ自社で保有していたとしても稼働率が下がればお客様から頂戴する使用料も自ずと増える訳です。

とにもかくにもノロノロやっていて良い事は一つもありません。

適正な役割分担でコストアップを抑えています。

田舎町での町場工事は基本的に宣伝費、つまり営業コストが必要ありません。ところが都会での町場的な仕事には営業活動が欠かせません。そりゃそうです、ライバルもたくさんいるし黙っていてもお客様はこちらを見つけてはくれません。だからたとえ町場的に自社で何でもかんでも施工する会社であってもチラシを撒いたり、インターネットで広告を打ったりする営業活動が必要なんです。

それ以外にもお客様との商談を行って、最適なご提案を行うプランニングや提案内容を分かりやすくする為の図面を描く作業なども大事な役割とスキルです。

こう言った作業も含めて、それぞれがそれぞれの得意分野で最大限の力を発揮できる体制さえ構築出来るならば、例え外注を使っていても無駄なコストを発生させないで適正な価格でご提供ができるとぼくは考えているのです。

むしろ得意分野に特化して効率を高める事で全てを一社で行うよりも遥かにムダを省くことが可能になるワケです。そうやってぼくたちエクスリーフと協力会社や職人さん達との連携を深めてお互いを補完し合って成り立っているのです。

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実際には独立している職人が多い

大きな電気工事店を営む知人に聞いたところ職人の多くは独立した職人だと言う。もちろん現場を管理する者は社員が監督を務めるが実際に作業を行う職人のほとんどは独立した職人である。

これは電気工事に限らず大工工事や設備工事も同じように作業の多くを独立した職人が受け持っているケースが一般的なのだそうだ。

あるリフォーム系の新聞によると社員として雇っている大工の数は全体の26%程度だと言う。しかもその多くは20代と比較的に若い世代らしいのです。30代以降で減っているのは腕が一人前になって、より多くの収入を目指して独立するから。それから会社側もそれ以上に給料を上げると固定費が増えるから独立するように促している一面があるのかもしれません。

いずれにしてもネットの掲示板などで書かれている「外注を使っている工事店はマージンが増えるから高くなる」とか「外注は責任感が無いから仕事が雑だ」などのいい加減な書き込みが実際にはその逆だということを上の数字が示しています。もしそうだとしたらここまで多くの職人さんが独立することなんて出来ないからです。

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腕に覚えがあるなら早く独立するべきだ!

多くの場合、独立した職人はいい加減な仕事をするとペナルティが発生してダメ直しや、場合によっては損害賠償に発展してしまうケースもある。だから自ずと仕事は丁寧になる。社員職人の場合は会社が責任を持つのでむしろ責任感が希薄になる傾向が強く、向上心も育たない。

しかも社員の場合は「1日いくら」の収入であるのに対して、独立した職人の場合は「一件いくら」であることが多いので手際よくやるための努力を怠らないから仕事も早くなって当たり前なのです。

だからぼくは腕の良い職人は独立するべきだと思っている。そうすることで職人の高みにより近づけるようになるからです。同じ仕事をするのでも良い仕事をするのとそうでない仕事ではやりがいに雲泥の差が生じます。そのうえ収入が上がるのだから。

確かに独立するには勇気が必要です。独立したからと言って収入が保証されるワケではありません。でもいま世の中は人手不足です。それも特に建設業界は一際深刻です。そんな時代なのだから良い仕事さえしていれば必ず仕事は舞い込んで来るはずです。だから腕に覚えのある方は思い切って独立したらいい。そんな意欲のある方をぼくは応援しますのでやる気のある方は是非ともご一報ください。

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あとがき

ここまでお付き合いいただきありがとうございます。いやはや、新年そうそう長いブログとなってしまいました。

どうでしたか、自社施工についてご理解頂けたでしょうか?! 外構の場合、そもそも同じ職人が全て施工するなんて現実的には難しい。ましてや品質も安心で値段も安いなんてことにはなろうハズもない。「当社は自社施工だから安くて安心ですよ」なんて言う業者は信じちゃいけませんよ。ぼくならそんな業者はむしろ不安になっちゃいます。

でもね、暗示のように広まっているんですね「自社施工は安心」ってヤツが・・・それを覆すためには色々と整理してご案内をする必要があったのでこんなに長いブログになってしまいました。

つい数か月前に今回のような説明をさせて頂いたお客様から「施工についてを知りたがっている人も多いと思いますからブログで取り上げたらどうですか?!」ってご意見を頂きました。その節は貴重なご意見ありがとうございました。ずいぶんと時間が経ってしまいましたがようやく記事にする事が出来ました。見ていて下さると嬉しいです。

最後にこれをご覧いただいてる外構職人のアナタ、もし腕に覚えがあるのなら、もし充実した人生を送りたいのなら思い切って独立してみましょう。会社に雇われていれば安心かも知れませんが得られる遣り甲斐は雲泥の差ですよ。同じ努力をするのなら自分と家族のために努力するべきです。自分を高める努力は絶対に自分を裏切りません。何故ならいい仕事をすればお客様がかならずそれを評価してくれるからです。

しかも独立するには若い方が良い。大抵の場合、若いうちは給料が安いので会社側が放したがりません。しかも最初のうちは給料も上がるでしょうがある程度までくると昇給は止まります。それ以上を要求すると結局は辞める羽目になります。だから早いうちに独立してスキルを高める努力を始めた方が良い。

 

さあ、新たな扉を開いてぼくと一緒に遣り甲斐のある仕事をしましょう。ぼくはその為の応援を惜しみません。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

それではまた。

M.TOMIYAMA

どういうワケか右と左の足の長さが2cmも違うんです。おまけに靴のサイズも左右で違うんです。これって一体どうやってそうなっちゃったんだろう( ^ω^)・・・

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暮らしを彩るステキなアイテムの数々やその時々に感じた大切なこと、楽しんでいることを書き残しています。毎日をほんのちょっと温かく。
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