だからレンガはあたたかい素材なのである

レンガ

昨年の秋頃、江別にある米澤煉瓦さんに伺った際に工場を案内して頂いたので今日はその時の話しも含めてレンガの魅力についてご紹介したいと思います。

レンガで建てられた歴史的建造物

日本でレンガが建材として使われだしたのは幕末から明治と言われており、レンガ建築はある意味で文明開化のシンボルとも言える建造物であったようです。東京駅や赤坂離宮、横浜赤レンガ倉庫などをはじめ、北海道にも明治21年に建てられた道庁赤レンガ庁舎が今尚現役で使用されており、一度大きな火事で内部と屋根が消失してしまったようですがレンガを積んだ壁体は今も悠然と佇んでいます。明治43年に建てられた函館中華会館などはクギを一本も使用していない建造物として登録有形文化財に指定され大切に保存されています。

建材としてのレンガとその歴史

日本においての歴史は文明開化以降ですが世界的にレンガが登場したのは紀元前4000年までさかのぼりメソポタミア文明の時期とされています。なぜこれだけ長い間使われ続けているのか?! それはレンガのもつ高い強度、耐久性、優れた耐火・耐水性、熱を遮る断熱性や遮音性がとても優れていたからです。そして何よりもその魅力的な外観、温もりを感じさせる素朴な風合いがあるからです。ひとくちにレンガと言っても色やカタチはさまざまです。カラーは赤や黒、茶、黄色や紫など焼き加減や土の調合によりさまざまな色合いを作ることが出来て、外観のイメージにあわせて豊富に選ぶことが可能です。日本でのサイズは210mm×100mm×60mmが一般的な大きさで外国製に比べると一回り小さめの大きさとなっています。これは手の平の大きが外国人より小さいからで手で一個一個手積みするため、手の大きさに併せてサイズが決められているからのようです。

道庁赤レンガ庁舎

道庁赤レンガ庁舎

近くでよく見ると色は赤というよりも茶色に近い、ところが太陽光線の入射角度によって離れた距離から見ると赤色に見えるから不思議です。つまり北緯43度の札幌と北緯26度の沖縄とでは色の見え方が違うという事ですね。

札幌と江別レンガの歴史

札幌にもレンガ工場はいくつもあったようですが今はもう残っていません。昭和になって安くて工期が短い他の建材が主流となり、需要が減っていく中でレンガに適した良質な土が取れる野幌周辺に工場が集まり、そうして札幌の街からレンガ工場が姿を消してしまったそうです。「野幌の土は湿らせると粘りが増し、乾燥させると著しく強度が上がり、そして何よりも吸水性に優れているため凍害が少ない、まさに北海道に適した土だ」と米澤社長。野幌でも宅地化が進み良質な粘土が少なくなって来ているそうですがこれからも釜の火を消さず、北海道遺産の「江別レンガ」を焼き続けて欲しい、そう願うばかりです。

北国だからこそのレンガ

北海道の冬は街路樹や庭木の葉が落ち、そうすると途端に無機質な建物の外壁があらわになってしまいます。だから天然素材で暖かみのあるレンガの色調が欲しくなってしまう。ひとくちにレンガ色といってもその土地によって粘土の色も違うし、前述の通り緯度によってその見え方はさまざまで、だから人それぞれに心に触れる色調が違うのだと思います。

レンガで家を建てるのはコストを考えると厳しいのですが塀や門柱、アプローチの舗装など外構工事に取り入れることは決して難しい事ではありません。あなたの心に触れるレンガの色でご自宅の外構を彩りませんか?! きっと冬でも暖かく、帰るのが楽しみなマイホームになりますよ。

今日はレンガの魅力と北海道遺産にも登録されている「江別レンガ」を作り続ける米澤煉瓦さんをご紹介させて頂きました。

*表紙の六花亭福住店さんは江別レンガを使った今では珍しいレンガ積みの建物です。その悠然とした佇まいとぬくもりを感じさせる質感は一見の価値がありますよ。お近くの方はぜひ

 

【焼く前の煉瓦】あたたかい国や地域ではこのまま使います

【焼く前の煉瓦】あたたかい国や地域ではこのまま使います

【米澤煉瓦さんの釜】自動制御で24時間焼き続ける最新式の釜です。

【米澤煉瓦さんの釜】自動制御で24時間焼き続ける最新式の釜です。

ちょっとだけ中を覗かせもらいました。目が痛くなるほど燃え盛っています。

ちょっとだけ中を覗かせもらいました。目が痛くなるほど燃え盛っています。

米澤煉瓦

これが60年前に積まれたレンガ【米澤煉瓦さんの工場】

これが60年前に積まれたレンガ【米澤煉瓦さんの工場の壁】

M.TOMIYAMA

どういうワケか右と左の足の長さが2cmも違うんです。おまけに靴のサイズも左右で違うんです。これって一体どうやってそうなっちゃったんだろう( ^ω^)・・・

プロフィール
暮らしを彩るステキなアイテムの数々やその時々に感じた大切なこと、楽しんでいることを書き残しています。毎日をほんのちょっと温かく。
お問い合わせ

最新記事