ぼくは絶対に忘れない。
社長のひとり言
ぼくが実家に残してきたミニチュアダックスフンドのティオが天国に旅立ってしまいました。あと一週間で20歳の誕生日だったのですが・・・
ぼくは絶対に忘れない。
先に死なれるのは嫌だからと犬を飼うのを嫌がっていた父や母の反対を押し切って「育てるのは俺だから」と無理やり家に連れ帰ったあの日から、もう20年も経つんだね。記憶力の低いぼくにしてはついこの前のように覚えている事が不思議なくらい鮮明に思い出せる。
トイレを覚えさせるのも、無駄吠えを辞めさせるのも随分と苦労したんだけれど、そんな事よりも短い脚でテクテクと歩いてくるあの愛らしい姿が目に浮かんでは頭から離れない。
一緒に住んでいた訳ではないのに、と言われるかもしれないが仕事の転勤で実家を出る際に置いてきてしまった事を今までずっと気になっていた。後悔ではないが心のどこかでずっとずっと気になっていた。
転勤先では一人暮らしだし、何よりも連れて来ると父や母が寂しがるだろうと考えての事だったけれど、実家に帰る度にぼくのそばから離れないティオを見るのは正直辛かった。帰り際に悲しい声で鳴いているティオと離れるのは本当に辛かった。きっと同じくらいにティオもつらかったのだろう。そう思うと胸が痛い。
でも、ティオが居てくれた事でどれだけ父や母が心穏やかに過ごせた事だろうか?! どれほどの安らぎを与えてくれたのだろうか?! そして今、父や母はどれだけの悲しみに耐えているのだろうか・・・
だからぼくはティオを忘れない。ときどき思い出して一緒に走ろう。置いてきてしまったぼくだから、ぼくの代わりに父と母を見守り続けたあの子を絶対に忘れない。
ティオちゃん、今まで長い間、父や母の支えになってくれて本当にほんとうにありがとう。
そして、実家に置いてきてしまってごめんね。