旅立ちの日に・・・

子供たち2人が社会人として我が家を巣立っていった。
昨日君たちがいなくなった子供部屋を掃除しながらぼくはしばらく動けなくなった。
お兄ちゃんなんてもう4年も前に進学で上京しちゃってるんだど、やっぱりぼくたちの手を離れるとなると心持ちがまるで違うから自分でも驚く。
正直に言ってぼくは子供が苦手だった。
別に嫌いじゃないんだけど、弟みたいにうまく小さな子と接することが出来なくて、ちびっ子とはどうも距離を置いて接していた気がする。
でもそんな自分が君たちが生まれていっぺんしたんだ。苦手だったはずの子供が、かけがえのない存在になった。
自分はこの子たちを守り、育てるために今まで生きてきたんだって、そう思うほどに。
なのに、毎日毎日残業やら付き合いやらで家に帰るのが遅くなって、子育てのほとんどを妻に任せっぱなしで今思えば後悔しかない。ほんとうにダメな父親だった。
仕事で嫌な事があったり、人間関係で悩みを抱えて家に帰宅したとき、どれだけ君たちふたりの寝顔に助けられたことか。どれだけ君たちの笑顔に癒されたことか。
それは今でも変わらない。
どうやら、ぼくは君たちを守り、育てて来たつもりがまるで逆だったのではないかと今になって気が付いた。少なくともぼくのこころは守られてきた。それは間違いない。
反省だらけの子育て。
でも君たちが大好きだった。
たくさんの思い出がある。正直言ってむちゃくちゃ寂しい。これが子離れ?いや違う、振り返るとまるで大親友との別れみたいに寂しい。
やっぱりこれが子離れなんだろうか?! だとすれば妻はいまどれだけのさみしさを感じているのだろうか? ぼくを案じて我慢しているのだろうか?
結局のところ、ぼくは家族みんなに守られてここまで生きて来られたんだ。
ゆれるカーテンを眺めながら、君たちが居なくなった部屋のなかで、お母さんの偉大さに気が付いて、ぼくはしばらく動けなくなった。
