父が遺してくれたお庭

いつもご覧いただきありがとうございます。富山です。
最近、お見舞いに行くと母が「一度、家に帰ってお父さんのお庭が見たい」と決まってつぶやく。
6月に行った時は「そろそろツツジが咲いてるよね」
7月に行った時は「バラもう咲いたかしら?」
8月になったら今度は「小さなヒマワリがたくさん咲いてると思うの、一度で良いから家に帰ってお父さんの花を観たいなぁ」と,,,
小さなヒマワリと言っているのはおそらく、ルドベキア・タカオの事だろう。日本では三葉大反魂草とも言い、死者の魂を呼び戻すと言う意味が込められた反魂草の一種だとは、たぶん母の知るところではないだろう。
父が亡くなって、早くも3年が経った。入院前、自宅のベッドで寝たきりの母の希望でお庭が良く見える位置にベッドを移動させたは良いけれど、雑草に蹂躙されていく父の花壇を悲し気に見つめる母の姿に耐えられず、虫が大嫌いなはずの姉が一生懸命に雑草を抜いてくれた父が遺したお庭。
心臓が弱って、肺に水が溜まってしまうため、半年以上も家に帰ることは出来ていない母の願いが亡き父が遺したルドベキア・タカオを眺める事だとは、なんとも切ない。
ルドベキアの花言葉は「あなたを見つめる」
いろいろとあったろうけれど、やっぱり二人はいい夫婦で、ぼくにとっては良い親だ。あなた方二人の子供で良かったと、心からそう思う。
近々、緩和ケアの専門病院に転院予定という。そのタイミングでなんとか自宅に寄ることは出来ないものだろうか?どうかそれまでルドベキアが咲いてくれている事を願わずにいられない。どうか、母がこの先どこかで父の魂に再び巡り合えますように強く願いを込めたい。今はただそれだけを願いたい。

帰りに心配になって父の庭を見てきたら、ルドベキア・タカオとピンク色のバラ「ナエマ」が健気に花を残してくれていた。もう少し頑張っていて欲しいなあ。それにしてもどちらも強い宿根草で驚く。
それではまた。